ベリーダンスと写真撮影について

この1年の間、様々なイベントに出演したり、主催もしましたが「ベリーダンスの写真撮影」、強いては「ライブパフォーマンス全般の写真撮影」について考えさせられる機会が多かったのでブログに書くことにしました。

IMG_1534
Photo by hirono

私は自分が主催するベリーダンスイベントでは写真撮影(および動画撮影)をスタッフのカメラマンに依頼して、他の一切の撮影をお断りしています。基本的にライブパフォーマンスは撮影禁止が常識ではありますが、それを知らない方も割と多いので、なぜ撮影が禁止なのかを説明したいと思います。

)レンズ越しでは本当の意味でライブパフォーマンスを楽しめない
ベリーダンスに限らず、すべてのライブパフォーマンスは目で楽しむ要素が多分にあります。直接目で見ているのと、レンズ越しで見るのとでは大きな違いがあります。レンズ越しで見る行為には「良い瞬間を収めよう」という意識がはたらくからです。なのでシャッターチャンスを狙っている間は踊りを100%楽しむことはできません。カメラ越しにこちらを見ている観客を見て、ダンサーは「写真に収めて記念にするのではなく、この瞬間を楽しんで心に残してほしいのに…」と残念な気持ちになります。観客にはぜひライブならではの生きた瞬間を楽しんでいただきたいと思います。

IMG_1528
Photo by hirono

2)良いパフォーマンスの妨げとなる
ライブは生物なので集中力が大事です。そして瞬間瞬間の表現が意味をもちます。そんな中、一人や二人ならともかく、たくさんの人がこちらにカメラを向ければ嫌でも意識せざるを得ません。そして場合によっては踊りに影響します。観客が踊りを写真に収めたい気持ちはよく分かりますが、ダンサーの表現の妨げになり得ることを考慮して頂きたいと思います。「 スナップ写真なら1枚ぐらい良いじゃない」と思うかもしれませんが、1人にOKしてしまうと全ての人に許可をしないと不公平になってしまいます。また、1人がやっていれば、周りの人も「なんだ、撮影して良いんだ。私も撮っておこう」ということになり、いつの間にかたくさんの人が撮影しているという状況になり兼ねないので、全面禁止にしています。

IMGP9673_1000
Photo by Akihiko Kitamura

3)他の観客の迷惑になる
写真を撮る行為が、純粋にライブを楽しみたいと思っている他のお客さんの迷惑になる場合があります。特に混み合った会場では、隣の人のちょっとした動きが視線に入り、踊りから意識が反れてしまうこともあります。どんなに控えめに撮ろうと思っても手を挙げてカメラや携帯を持ち上げるだけで、周りの人に影響することになりかねません。また、少しでも良い写真を撮ろうと思うとついつい体が動いてしまうものです。本人は悪気がなくても他の観客の目線や集中の邪魔になっていることもよくあります。動きだけでなく「音」も周りに影響を与えることなります。シャッター音もそうですが、携帯で撮る場合はメールや電話の受信音が鳴ってしまうことも考えられます。さらに思いがけずフラッシュが光ってしまったということもよくあります。そうなると当然、他の観客だけでなくパフォーマンス全体に影響を与えます。そのため、撮影禁止と共に携帯の電源自体をオフにして頂いています。

ElliIntro1
Photo by Akihiko Kitamura

4)肖像権の侵害になる 
日本には肖像権というものが存在し、他人から無断で写真を撮られたり無断で公表されたり利用されないように主張することができます。

<スナップ写真について>
今の時代誰もが携帯を持っていて、写真を撮ってfacebookやmixiなどのSNSに即アップすれば瞬時に世間の目に触れることになります。日々当たり前のように誰もがやっていますが、この「肖像権」という人権がないがしろにされることがよくあります。 本人にとっては「こんな面白いライブを見たよ!」と記念に残したい、あるいは友人にシェアしたいという、純粋な動機からの行為かもしれませんが、対象としているのが人間である場合、本人の許可なしで写真を撮ることや公表することは本来していはいけないのです。 人が撮った写真であまり自分の写りがよくないものが公開されて、「え~!これはやめてほしいな!」という経験は多くの人がもっていると思います。撮影した人にとっては「良く撮れた」と思う写真でも写っている本人は「絶対に嫌だ!」という場合も十分あり得るのです。
ベリーダンスの場合、肌の露出が多い衣装を着ているケースが多いので、余計に注意する必要があります。踊っている本人は純粋に芸術として表現していても、写真を撮る人が「いやらしい」感情を抱いていれば、そこの部分が強調された写真が撮られ、公開されてしまう場合もあります。その結果ダンサーの人権が無視されたり、写真を悪用されたりする可能性も十分あり得ます。人には誰に写真を撮られるか、そして自分が写っているどの写真が公開されるかを選ぶ権利があり、本人の許可がなくては撮影、公開はしてはいけないことをご理解していただきたいと思います。

<フォトグラファーによる写真について>
“フォトグラファー”の方に関しては、プロでもアマチュアでもそうですが、写真を撮ることが好きな方は常に良い「ネタ」を探しています。美しい衣装を着て、きれいにメイクして魅惑的に踊るベリーダンサーはかなり良い「ネタ」にされることが多いです。そう思っていただけるのは光栄である反面、ご理解していただきたいのは私たちは写真を撮ってもらうために踊っている訳ではないのです。パフォーマンスをしている時はパフォーマンスを楽しんでいただきたいのです。そして自分の記念、あるいは公開用にパフォーマンスの写真を残したい場合は、信頼できるフォトグラファーに事前に撮影を依頼します。なので、「良い写真を撮ってやれば相手も嬉しいだろう」と仮定しない方が無難です。尚且つ、前述したようにベリーダンスは露出が多い衣装で踊る場合が多いので、見知らぬ人、特に男性に写真を撮られることを不快に感じることも多々あります。そのため、フォトグラファーにとっては「良い“作品”を撮る」という行為はあくまでも自分の「エゴ」で、撮影対象となるダンサーにとっては迷惑であったり、心外である可能性があります。また、これはダンサーのエゴかもしれませんが、撮ってもらうなら当然ながら美しく、芸術的な意味でも良い写真を撮ってもらいたいものです。ただ、人によって何が美しく、何が良い写真なのかは価値観の違いがあります。 なので例え本人に許可をとった上での撮影だとしても、公開をする場合は必ず本人の許可をとるのがマナーです。ダンサーはフォトグラファーの作品の「ネタ」ではなく、意思や感情、権利をもった人間です。最低限のリスペクトをもって扱うべき対象であることをご理解していただきたいと思います。

以上のことから、私は自分が主催するイベントではオフィシャルなカメラマン以外の撮影を一切禁止しています。また、外部のイベントに関しては少しずつ、撮影のマナーが浸透していけば良いと願っています。

ライブ空間にいる全ての方が、より質の高い時間を気持ちよく過ごせるよう、ご理解、ご協力いただければ幸いです。

********************************************************

後日追記:おかげさまで当ブログ記事は数多くの方に関心をもっていただき、アクセス数は:
11/15  2538件
11/16  2071件
11/17  676件
11/18  222件
記事を読んでくださった方がfacebookとtwitterでシェアやtweetして下さった結果、知らぬ間にすごいアクセス数になっていました。これだけ関心をもっている人が多いと分かってとても嬉しいです。ベリーダンスイベントのみならず、ライブパフォーマンスシーン全般で撮影マナーが浸透していくことを願います。

Posted in ダンサーの心得